2008 Fiscal Year Annual Research Report
エージェントベースのモデル分析によるeラーニング協調学習の数理構造の解明
Project/Area Number |
19500802
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安武 公一 Hiroshima University, 大学院・社会科学研究科, 講師 (80263664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多川 孝央 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 助教 (70304764)
山川 修 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (90230325)
井上 仁 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 講師 (70232551)
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Keywords | eラーニング / 複雑ネットワーク / 複雑系 / 協調学習 / シミュレーション |
Research Abstract |
協調学習の数理的な特性をシミュレーション分析によって明らかにした研究には,統計物理学の方法論を応用したBordangna and albano(2003)などがある.これらの研究で彼らは,1)学習者が相互作用を行なう協調学習は全体としてポジティブ効果を生み出すこと,2)協調学習のダイナミクスには相転移(phase transition)に似た現象を観察することができたこと,そして,3)協調学習の効果は学習者が初期で持つ学習レベル(知識レベル)に対応し異なる時系列的変化を示すことなどを明らかにした.ただし彼らの研究では協調学習空間における学習者のネットワーク構造はまったく考慮されていない.BAモデルではすべての(あるいはグループ内の)学習者は等しく相互作用するように設定されている.このことは複雑ネットワーク科学の観点で見れば,BAモデルで分析されたのは学習者のネットワークが完全グラフ(Complete Graph)のみであるこしとを意味している.そこで本研究では,オリジナルなBAモデルを拡張し,協調学習空間におけるネットワーク構造が学習効果に対して与える影響について分析を行なった.より具体的には,BAモデルに完全グラフ,Small World, Scale-Freeという3つの(学習者間の)ネットワーク構造を導入し,Monte Carlo法によるシミュレーション分析を行なった.その結果,BAモデルでは分析の対象外とされた,ネットワークの構造的な特性が持ち異なった学習効果について明らかにすることができた.さらにわれわれは,これらの成果を活かし,実際の学習環境において学習者のネットワーク構造を可視化するためのプラットフォームの開発にも着手し,国際会議でその成果を発表した.
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