Research Abstract |
本研究は,高校生・大学生・企業の導入教育を対処として,リアルタイムOSや制御プログラミングなどの組込みシステムの概念から実装までを学習するために,可視化をベースとした理解しやすい教育環境および教材の開発および,実用性に関する評価を行うものである.現在,組込みシステムのための教育環境としては複数のものが存在するが,系統的な学習に向かないこと,ソフトウェアにフォーカスしているものが少ないこと,e-Learningシステムとの連動をしているものがないことが問題である.本研究では,これらの問題を解決するためのプラットフォームおよびその上で動作する教材を開発し,その有効性を評価することで,日本の産業を支える組込みシステムの教育に関する問題,およびサポートに必要となるソフトウェアアーキテクチャを明らかにするものである.具体的には,単純なハードウェア構成によるロボット教材,シミュレータと連動した動作の再現容易な環境,および従来の可視化環境との統合,簡易なテスト環境の提供がある.平成19年度は,これまでに開発したツール群の見直し,および試験評価に必要となる環境の開発,さらに予備実験に必要となる環境の試作を計画した.予備実験では,簡易かつ複製が容易な起動環境が求められる.そこで,従来のWindowsベースの環境から,Linux環境上へ移行を行った.また,これに合わせて教授者の負担を減らし,学習者の自習を可能とするために,システム全体をパッケージ化し,1CDで収まるように統合した.これにより,評価実験などで必要となる台数上での動作が容易になった.パッケージ化を行うことで,システムのアップデートによる機能拡張も合わせて容易になった.さらに,学習者の使い勝手に大きく影響するユーザインタフェースについて再考し,有効性を検証した.特に,操作性や画面レイアウトについて,学習教材で一貫した形式にすることで,学習者の負担の低減を意識した.有効性については,アンケートベースの利用者評価を行い,改善したユーザインタフェースが,学習者にとって有効であることを明らかにした.また,新しいOS教材として,各国の大学で用いられているNachosに対応するようにした.さらに,本システムの基盤となるデータロギングの取得について,ロボットや基盤への依存性を減らすために,分散オブジェクトシステムを開発した.組込みシステムでは,メモリの問題が大きいが,本分散オブジェクトシステムは省メモリサイズであり,このような用途に適合している.
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