Research Abstract |
本研究の目的は,高校生や大学生を対象として,リアルタイムOSや制御プログラミングなどの組込みシステムの概念から実装までを,可視化をベースとしたより理解しやすい教育環境を提供する.そして,その上で動作する学習教材の開発および,利用評価を行い,本システムで提供する学習環境モデルの有効性を明らかにすることである。本年度の具体的な目標は,申請者が開発を行ってきた教育環境を,ロボットを中心に統合することで,学習者がより興味を持ち,主体的に取り組める環境を提供することである. 本年度の成果は次のとおりである. (1)学習者および教授者が導入しやすい教材環境の開発:従来のロボットに加えて,教育機関で導入しやすいLEGO社のMindstorms/NXTを利用可能にした.システム全体を見直し,多様なロボットに対応できるように再構成し,開発からデバッグ,可視化までを本システム内で行えるようにした. (2)仮想マシン環境による安全なシステムトレース環境の提供:従来のロボット上で動作する仮想マシン環境を提供し,OSの安全な実行およびハードウェアの単純化による学習の容易な環境を導入した.また,仮想マシン自体の操作を従来の環境に統合した. (3)可視化教材の整備:本システムを教育機関で利用するために,PowerPointによる学習教材を作成した.本教材は,概念の説明および演習から構成してあり,学習環境と連動して操作可能である.また,教室での利用を容易にするために,1CD/1USB化を行った. (4)工業高校における評価実験の実施:本システムの有効性を検証するために,工業高校においてNXT環境を用い,従来のRobotLabと比較して,組込みシステムの概念の理解のしやすさに関する評価を行った.対照実験を行った結果,本システムの優位性を実証し,実際の教育現場でも本可視化環境が有効であることが明らかになった.
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