Research Abstract |
本研究の目的は,連接,条件判断処理,反復処理などのアルゴリズムの基本構成要素の理解と,それらを使ったソースプログラムを1行1行トレースする能力の習得にある.昨年度までに,システムの要求仕様の検討,システム構成の検討,トレースのためのプログラム可視化機能の実現方法の検討を行った. 今年度は,前年度に行った設計方針に従って,システムの実装と評価を行った.サーバ側にApache,開発言語はPerlを用いて実装を行った.クライアントにはJava言語を用いた. システムの実装後,1年生を対象とした再履修者向けのプログラミング授業において,本システムを導入し,2か月間使用して評価を行った.履修者は全部で23名であり,システムの使用後,全員に対して無記名方式のアンケートを実施した.その結果,「連接」については80%,「条件判断処理」は70%,「反復処理」は50%の学生が理解の助けになったと回答した.また,学習に有効なシステムの機能として,「連接」と「条件判断処理」は類似問題出題機能,「反復処理」は「プログラミング基礎知識提示機能」であることがわかった.システム導入後,1か月以上経過した授業の後半においては,システムの使用によって,トレースの方法が身についたためか,システムを使わずに,1行1行丁寧にトレースする学生が多く見られるようになった.トレースの重要性と方法が理解されるとともに,トレースするという習慣を身につけた学生が多くなったと感じている.
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