Research Abstract |
本研究では,高専低学年の学生に,数式の変形過程を1つ1つ記述させ,数式のハンドリングを正確に行えるよう支援することを目的として,基礎数学の学習において最も重要な,論理的思考力を養うためのe-ラーニングシステムの設計と開発を行うことが目的である. 本研究の目的を達成するため,本研究の2年目にあたる平成20年度は,3つの課題に絞って研究を行った.1つ目は学習支援システムを完成させることである.前年度に課題として残されていた意味解析部の部分についてアルゴリズム・実装方法を再度検討しなおし,新しいソフトを開発した.現状では,扱える数式に制限があるものの,意味解析は十分実用に耐えるものが実現できている.2つ目として,完成したシステムの性能評価実験を行った.性能評価では,本校低学年の学生が数式のハンドリングで間違いをおかした事例を収集してシステムに入力し,認識部・意味解析部・インターフェース部それぞれの性能評価を行った.その結果,数件のデータで意味解析部の不具合が見られたが,それ以外のほぼ全てのデータに対して,期待通りの動作を確認することができた.意味解析部で不具合のあった事例は,数式のハンドリング上,非常に特殊なケースであり,今後,個別に例外事例としてシステムに埋め込むことは可能であるが,性能評価上は全く問題ない事例であると考えている.最後に3つ目として,学習コンテンツの制作を行った.基礎数学で用いる教科書等の内容を精査して学習コンテンツの収集を現在継続で行っているところである.今後は,意味解析部で扱える数式の種類を拡大し,実用化を念頭においたシステムの完成を目指す予定である.
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