2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国語を学習する日本語話者向けの発音訓練のシステムの開発
Project/Area Number |
19500843
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Research Institution | Toyama National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
星野 朱美 Toyama National College of Maritime Technology, 教養学科, 准教授 (90300566)
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Keywords | VOTの長さ / 中国語の発話 / 有気音 / VOT中の相対平均パワー / 発話評価 / 発話の評価基準 |
Research Abstract |
これまで、発話中のVOTが長ければ,有気音に聞こえ,VOTが短ければ,無気音に聞こえると言われていたが,ここではVOTが何msであれば正確な有気音に聞こえるか調査する。平成19年8月に中国の大学へ出向き,中国語を週2コマ,約1年間学習した日本人学生約15名を対象にして,学生らの二重母音の発話を現地の中国人に聞かせて,学生のVOTの長さと発話評価の関係を調べた。また,現地の中国人約10名学生の発話を評価し,発話の聴取も行なった。さらに中国の大学と研究所で中国語の音声研究の情報収集とディスカーションを行なった。 パソコンの音声解析ソフト(購入したパソコンとソフト)を用いてVOTの長さを測定して分析し,それらの発話(中国で取ったデータ)を比較することにより,学生の発話の問題点を分析した。これらの発話のVOT中に吐いた息の平均パワーを求め,発話評価との関係を調べた。 まず,有気音の発話のVOT中の新たな相対平均パワーを導出する方法を提案し,唇音と舌尖音二重母音の有気音の音節の発話に対して,それぞれのVOT中に吐かれた息の相対平均パワーを求めた。学生と中国語話者の発話のそれぞれのVOTの長さ,相対平均パワーと発話評価との関係を考察した。その結果は,1)VOTが短すぎる場合は発話の評価が悪く,相対平均パワーの強さは発話の正確さに関係ない。2)VOTの長さが一定の範囲内であれば,発話の正確さはVOTの長さだけで決まるのではなく,VOT中に吐いた息のパワーが強さに依存する。3)VOTが十分長いときは,発話の正確さはVOT中のパワーの強さに依存しない,VOTの長さに依存するという新たな発話の評価基準を確立した。
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