2010 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期における日本の化学研究の展開について史的な研究
Project/Area Number |
19500855
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
梶 雅範 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 准教授 (00211839)
|
Keywords | 日本化学史 / 眞島利行 / 有機化学 |
Research Abstract |
科学研究費の最終年度なので、これまでに収集した関係資料ととくに眞島利行関係の資料を用いて、大正年間から昭和前半期(戦前)の研究の展開(とくにウルシオールの構造研究)を歴史的に後付けし、日本の有機化学の研究伝統の形成という観点からまとめた。その際、前年度に印刷製本した眞島利行日記について、戦前期とくに眞島利行が東北帝国大学教授として仙台に居住していた大正年間と昭和初年の時期を中心に解読し、化学思想史の観点から分析した。それらは、平成23年度中に刊行予定の『日本科学思想史』(勁草書房、金森修編)の一章となる論文(「眞島利行と日本の有機化学研究伝統の形成」)としてまとめられた。また、眞島利行と日本の有機化学の研究伝統の形成として、来年度の科学史学会での発表が予定されており、その予稿も年度中に同学会の年会事務局に提出した。 同じく戦間期の日本の化学研究の展開として、1920年代に日本で開かれるようになった国際学会に注目しており、日本で最初に開催された大規模国際学術会議といわれる第三回汎太平洋学術会議(1926年)と世界各国の工学者が集まった東京万国工業会議(1929年)の関係資料の収集と一部の解読をフランスとロシアの研究者に依頼し、そのために科学研究費の一部をその謝金に充てた。 また、本研究に関連する発表として、11月にスペインのバルセロナで開かれたヨーロッパ科学史学会で日本の明治・大正期の日本における周期律の受容に関する発表を行った。
|