2009 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済下におけるわが国周辺地域の肉用牛生産の成長と自立
Project/Area Number |
19500881
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
川久保 篤志 Shimane University, 法文学部, 准教授 (50314612)
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Keywords | グローバル化 / 牛肉輸入 / 国土周辺地域 / 肉用牛飼養 / 大規模化 / 自立的発展 |
Research Abstract |
平成21年度は、BSE問題によるアメリカ産牛肉の禁輸・制限(2003年~)による価格高騰と国産需要の高まりという経済環境の好転の中で、日本の肉用牛産地が全般的に回復・成長基調にある現実を踏まえて、日本の2大産地である北海道東部と南九州地方、中でも大規模和牛繁殖産地である宮崎県日南市南郷町と日本最大の乳用種肥育牛産地である十勝地方を事例に、その具体的な発展動向について考察した。 その結果、日南市南郷町では高齢農家の離農によって飼養農家数は大きく減少しているものの、50頭以上を飼養する大規模和牛繁殖経営が数多く成立し、産地としての成長を支えていることが明らかになった。また、その要因として2004~2007年の間の和牛子牛相場の上昇に加えて、畜舎増築への政府補助事業が活用できたこと、町内外の農家から水田を借りるなど農地流動化が推進され、粗飼料の供給が比較的円滑に行われていること等が明らかになった。一方、北海道の乳用種肥育経営においては、と畜・解体後の枝肉価格が和牛のように上昇しなかったことと、輸入依存度が高い濃厚飼料の価格が世界的な穀物価格の高騰(2007年~2008年)によって急騰したこと等から、経営収支が改善された期間は極めて短かったことが明らかになった。 次年度は、南九州地方での補足調査を行うと同時に、北海道東部・十勝地方において乳用雄種を用いた肥育牛経営の存続要因とその地域経済上の意義についてより詳細な調査を行い、本研究を総括する予定である。
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Research Products
(1 results)