2007 Fiscal Year Annual Research Report
琉球列島における完新世の津波と台風の高波による海岸地形変化
Project/Area Number |
19500885
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
河名 俊男 University of the Ryukyus, 教育学部, 教授 (60044955)
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Keywords | 完新世 / 津波 / 台風の高波 / 海岸地形 / 沖縄島 / 宮古諸島 / 八重山諸島 / サンゴ礁岩塊 |
Research Abstract |
研究課題を明らかにするために、沖縄島知念沖の礁嶺、沖縄島周辺島の古宇利島、宮古島、宮古島周辺島の来間島・池間島、八重山諸島の石垣島、竹富島、黒島、波照間島を調査地域とした。研究実績の概要は以下の通りである。 1)1771年明和津波の遡上高は、宮古島で約10m、石垣島で最大約30mと推測される。 2)古文書『奇妙変異記』に記載されている、明和津波と推測される津波で移動したという岩塊をすべて確認した。具体的には、石垣島北部の「安良大かね」、「石垣島中部の「あまたりや潮荒」、石垣島東南部の「高こるせ石」、石垣島南方礁嶺上の「ふくらおり石」、および黒島の野原の岩塊である。 3)宮古・八重山諸島では、以上の事項以外に、黒島、竹富島、池間島では明和津波以前の津波石、竹富島では2006年の台風の高波によるノッチ上半部の崩壊に伴う海岸地形の変化、波照間島では2006年と2007年の台風の高波による海食崖の剥離と岩塊の移動等を地形測量し、それらの規模を把握した。 4)宮古島の東平安名崎のマイパー浜で、ある成長方向のハマサンゴ化石に成長方向が異なる別のハマサンゴ化石が付着して1つになっている岩塊を2個、確認した。それらの化石の最新部は、それぞれ約500年前および1000年前を示し、河名・中田(1994)の津波襲来時期を裏付けた。 5)沖縄島周辺島の古宇利島では、円筒状空洞地形およびそれを埋積する赤色土とその固結土を調査し地形測量した。その結果、古宇利島の北海岸は、過去数千年間にわたって海食崖が後退している現象が推測された。上記の赤色土とその固結土は、宮古島の周辺島である来間島でも観察された。 6)沖縄島知念沖の礁嶺上には、「ユイサー石」と呼ばれているサンゴ礁岩塊が打ち上げられている。現地調査によって、その岩塊は1951年のルース台風の高波によって打ち上げられた岩塊であることが判明した。
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Research Products
(5 results)