2007 Fiscal Year Annual Research Report
春季親潮珪藻ブルームの基礎生産特性とその生理機構の解明
Project/Area Number |
19510001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 光次 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (40283452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆川 純 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (80280725)
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Keywords | 植物プランクトン / 基礎生産 / 光合成 / 春季ブルーム / 親潮 / 西部北太平洋 |
Research Abstract |
春季に親潮系水で大増殖(ブルーム)する珪藻類の基礎生産特性を把握するため、2007年4月3日から5月4にかけて(独)海洋研究開発機構白鳳丸KH-07-1次研究航海に参加した。さらに、(独)水産総合研究センター若鷹丸WK0705航海(2007年5月9日-5月21日)およびWK0706航海(2007年6月4日-6月14日)にも参加し、試料採取および船上培養実験を実施した。観測期間中、大型珪藻類のブルームが観測され、珪藻組成がThalassiosira属からChaetoceros属へ変遷した。また、有光層内の深度積算基礎生産は325-3584mgCm^<-2>d^<-1>の間で変化した。海水中に栄養塩が十分に残っていたにもかかわらず、大型珪藻類の光化学系IIの光化学反応の量子収率(F_v/F_m)の低下およびフラボドキシンの発現が見られ、また海水中の溶存鉄濃度も相対的に低下していたことから、春季ブルーム期間においても海水中の鉄不足による大型珪藻類の増殖制限が起きることを本研究で初めて確認した。今後、上記3航海で得られたデータの詳細な解析を行うとともに、珪藻ブルームが起きていた親潮系水から単離した珪藻株を用いて、室内培養実験を実施し、現場データの検証を行う予定である。また、ブルームを形成していた主要珪藻種Thalassiosira nordenskioeldiiの同属異種で、近年、全ゲノムが解読された珪藻Thalassiosira pseudonanaのデータベースを検索し、光合成光化学系の反応中心および集光装置を構成する主要タンパク質およびそれをコードする遺伝子を同定し、その光合成装置の優位性を評価する試みを行った。
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