2008 Fiscal Year Annual Research Report
春季親潮珪藻ブルームの基礎生産特性とその生理機構の解明
Project/Area Number |
19510001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 光次 Hokkaido University, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (40283452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆川 純 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (80280725)
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Keywords | 植物プランクトン / 基礎生産 / 光合成 / 春季ブルーム / 親潮 / 西部北太平洋 |
Research Abstract |
春季に親潮系水で大増殖(ブルーム)する珪藻類の基礎生産特性を把握するため、昨年の4月から6月にかけて(独)海洋研究開発機構白鳳丸KH-07-1次研究航海、および(独)水産総合研究センター若鷹丸WK0705航海とWK0706航海にも参加し、試料採取および船上培養実験を実施した。今年度も引き続きそれら試料の測定を行った。得られた結果の概要として、観測期間中、大型珪藻類のブルームが観測され、珪藻組成がThalassiosira属からChantocnros属へ変遷した。また、有光層内の深度積算基礎生産は328-3231mg C m^<-2>d^<-1>の問で変化した。海氷中に栄養塩が十分に残っていたにもかかわらず、大型珪藻類の光化学系IIの光化学反応の量子収率(Fv/Fm)の低下およびフラボドキシンの発現が見られ、また海水中の溶存鉄濃度も相対的に低下していたことから、春季ブルーム期間においても海水中の鉄不足による大型珪藻類の増殖制限が頻繁に起きることを本研究で初めて確認した。得られた研究成果を中国・大連市で開催された北太平洋海洋科学機構(PICES)の第17回年次会議において発表し、BIO Committee Best Presentation Awardを受賞した。さらに、その内容の一部を国際誌Deep-Sea Research IIに投稿した。 現在、珪藻ブルームが起きていた親潮系水から単離した珪藻株を用いて、室内培養実験を実施し、現場データの検証を行っている。また、ブルームを形成していた主要珪藻種Thalassiosira nordenskioeldiiの同属異種で、近年、全ゲノムが解読された珪藻T.psnudonanaの光合成光化学系の反応中心および集光装置を構成する主要タンパク質を同定し、その光合成装置の優位性の評価を行っている。
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