2007 Fiscal Year Annual Research Report
琵琶湖における鉄(II)の動的濃度変化を支配する環境因子の解明
Project/Area Number |
19510010
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
丸尾 雅啓 The University of Shiga Prefecture, 環境科学部, 准教授 (80275156)
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Keywords | 環境分析 / 地球化学 / 陸水学 / スペシエーション / 鉄(II) |
Research Abstract |
琵琶湖表層、琵琶湖流入河川におけるFe(II)の形態、現存量を測定した結果、相当量の鉄(II)が溶存していることが明らかになった。溶存するFe(II)の濃度は一般に過小評価になっており、その生態系への影響を考慮するうえで、正確な濃度の決定と存在形態を把握し、生物に利用可能な形態を決定することが目的である。このためFe(II)の詳細な測定を行うとともに存在要因について考察した。平成19年度において夏期の表層においてFe(II)の濃度を測定したところ、昨年度予備調査を行ったときと同様にlm以浅でFe(II)の極大が認められた。表層におけるFe(II)の光還元生成は、腐植様物質を介している可能性が高いが、関与する構造、錯生成の影響は明らかではない。また、昨年末より琵琶湖湖水の年一回循環の時期になっても全層循環が起こらず、溶存酸素の低下に伴うFe(II)の溶出が見込まれたため、全層における採水とFe(II)の測定も合わせて行った。その結果、11月後半には湖底付近での酸素濃度は最低1.5mg/Lまで低下し、Mn2+の溶出には寄与したが、Fe(II)濃度の上昇には結びつかなかった。湖底の酸化還元電位を考慮すると、溶出したFe(II)は、最終的にFe(III)へと酸化されることは明らかである。一方で水温躍層下から水深70mあたりまでの溶存鉄のスペシエーションを考えるとその相当部分がFe(II)で占められることが明らかになった。今後、溶存態の鉄に対する配位子としての腐植物質の機能が、Fe(II)生成に与える効果のうち、どの過程が主要なのかを特定する。湖底付近におけるFe(II)の存在についても配位子の影響は無視できないので、琵琶湖全層における腐植様物質の化学的性質を比較する。また高密度サンプリングとスペシエーションのため、化学発光法を併用しながら研究を継続する。
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Research Products
(3 results)