2008 Fiscal Year Annual Research Report
発光細菌固定化チップによるマルチ環境計測システムの開発
Project/Area Number |
19510011
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
阪口 利文 Prefectural University of Hiroshima, 生命環境学部, 准教授 (10272999)
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Keywords | 環境分析 / 微生物 / マイクロアレイ / 生体機能利用 |
Research Abstract |
土壌修復現場などにおいて検出が要望される有機・無機系化学物質に対する代謝遺伝子を既存のデータベースからの選出や遺伝子工学的手法による代謝関連遺伝子の調節部位下流域に発光遺伝子などのレポーター遺伝子を融合することで、各種汚染物質に対して応答能を付与させた機能遺伝子の構築を試みた。基本的に大腸菌もしくはセレン酸還元菌の分離株をホストとしてレポーター遺伝子を含むトランスポゾンプロモーターレスベクターと接合伝達法を利用したランダムクローニングアッセイを実施した。これまでのところ、大腸菌、セレン酸還元菌に対してプロモータレスの発光遺伝子を含んだミニトランスポゾン(miniTn5)挿入変異によって応答遺伝子の検索をランダムアッセイに基づいて実施してきたが、有機系化合物、重金属イオン、毒性オキサニオンに対して明確に応答するような遺伝子を見出すまでには至らなかった。特に大腸菌内での発現安定性が問題となったため、セレン酸還元菌株への遺伝子導入、発現を目的として、エレクトロポレーションや広域宿主ベクターによる異種遺伝子の導入について検討したところ、RSF1010を骨格とするグラム陰性菌広域宿主ベクター(pKT230,pKT240)を接合伝達によって安定に宿主株導入、遺伝子発現をさせることが可能であった。今後、この導入系を用いてアレイ化に供する光微生物素材を新たに創製できる可能性が示された。また、本研究の遂行を通じて、トランスコンジュガントの形成法が確立されたことから、本課題終了後もランダム法によるミニトランスポゾン(miniTn5)挿入変異による関連応答遺伝子の検索は継続して行っている。細胞の活性を保持できるアレイ化技術の開発については、アレイ化などの物理的因子よりもアレイ化される微生物株の生物的特性に依存することが大きいことが判明し、新たなスクリーニングによって長期保存可能な株を獲得できた。これらの研究を通じて、最終的には、オンサイトでの多項目環境計測が可能たセンシングシステムのプロトタイプの開発を進展させることができた。
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