2009 Fiscal Year Annual Research Report
干潟土壌プロテアーゼに焦点化した干潟生態系の基盤形成に関わる研究
Project/Area Number |
19510012
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
中村 健一 Prefectural University of Hiroshima, 生命環境学部, 教授 (50094694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥野 誠 東京大, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (40143325)
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Keywords | 河口干潟 / プロテアーゼ / 有機物負荷 / 窒素代謝循環 / 干潟生態系 / 電気泳動法 |
Research Abstract |
賀茂川河口干潟において明らかにした「有機物負荷によりプロテアーゼ活性が誘導される」という前年度の実験結果を受け,22年度は極度に汚染された環境下にある広島市内を貫流する猿侯川の河岸底質を対象に,土壌の特性とプロテアーゼ活性の関連,及び電気泳動法を用いたプロテアーゼの分離・分析を行った。その結果溶存態リン酸,アンモニア値及び硫化水素値から総合的に判断し最も汚染度の高いと判断された2地点において,プロテアーゼ活性は必ずしも有機物含有量とは比例しない事実を明らかにすることができた。すなわち,強熱減量の結果から汚染の進んでいる当該2地点では,土壌中の有機物含有量は他地点に比較し,有意に高いもののプロテアーゼ活性は他の地点と同程度の値を示した。 この結果は,プロテアーゼ活性は土壌の嫌気的環境,あるいは共存物質の存在によってプロテアーゼ活性が阻害されている可能性を示している。したがって干潟生態系における窒素代謝循環の開始酵素に相当するプロテアーゼの活性を充分に発揮するためには土壌環境が極めて重要であることが明らかになった。この事実は,干潟生態系の環境保全において窒素循環機能活性を高めるためには好気的環境を保障すると同時に重金属等の阻害物質の除去が必須である事を示している。 また汚染土壌のプロテアーゼの電気泳動法による分析結果から,複数のプロテアーゼが存在することが明らかになった。しかしながら同一地点内の底質問においては極めて類似したプロテアーゼ活性バンドが検出されたのに対し,距離的に異なる汚染2地点間のプロテアーゼ活性パターンは必ずしも同一ではないことから,異種の微生物分泌によりプロテアーゼが分泌されていることが推定された。
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Research Products
(2 results)