2009 Fiscal Year Annual Research Report
太平洋中央域および東太平洋赤道域南北縦断間隙水化学成分のマッピング
Project/Area Number |
19510014
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
加藤 義久 Aoyama Gakuin University, 海洋学部, 教授 (00152752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 秀樹 東海大学, 生物理工学部, 准教授 (60254710)
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Keywords | 太平洋中央域 / 東太平洋赤道域 / 南北縦断測線 / 生物生産 / 堆積物間隙水 / 海底溶出 / ケイ酸塩 / 溶存バリウム |
Research Abstract |
(1)間隙水を通した海底物質移動過程のモデル化 太平洋中央域の南極海から北太平洋亜寒帯域に至る縦断測線において採取した表層堆積物コアを用い,沈積したオパール骨格の溶解に依るケイ酸塩の底層水に向かう拡散フラックス求めた.その結果,南極海から南太平洋亜熱帯域に向かっては,その値は700から80mmol/m^2/yrに減少し,赤道域では250-900mmol/m^2/yrと場所による変動が大きく,そして北太平洋亜熱帯から亜寒帯に向かっては750から1200mmol/m^2/yrに増加する傾向が得られた.重晶石の溶解に依る溶存バリウムの拡散フラックススの地理的変動もほぼ同様であった. (2)堆積物中の生物起源重晶石の測定 表層堆積物コアを用いて,海底における重晶石の地理的変動を調べた.その結果,表層堆積物中の重晶石の分布は,南北の亜熱帯域で減少し,赤道域および高緯度海域において増加する傾向が認められた.このことは重晶石が海洋表層の生物生産にともなって形成し,海底に沈積することを示している. 一方,過去60万年間の海洋変動を記録している東太平洋湧昇域から採取したピストンコア試料を分析・解析したところ,氷期に重晶石の堆積速度が増加する傾向を示していた.このことは.湧昇の規模が氷期に強勢・拡大し,表層の生物生産の増加と共に重晶石の沈積速度も増加したことを示す証拠であると考えられる. (3)研究の総括 生物起源粒子であるオパールや重晶石の堆積後の変質と間隙水を経由したケイ酸塩と溶存バリウムの拡散フラックスの地理的変動を調べた.その結果,これらの物質の堆積と溶出は現在の海洋表層の生物生産量を反映していることが判った.加えて.氷期-間氷期サイクルにおける海洋変動の解明の一つの方法として,難溶性鉱物である重晶石は古海洋における生物生産量変動のプロキシーとして有用である事が示唆された.
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