2007 Fiscal Year Annual Research Report
東シナ海上でブラウン雲が雲粒核作用を通して下層雲の微物理学的性質に与える影響
Project/Area Number |
19510016
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
石坂 隆 Aichi Gakuin University, 教養部, 教授 (50022710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永尾 一平 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00252297)
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Keywords | 雲粒核 / 大気汚染物質 / 東シナ海 / 下層雲 / 雲の微物理過程 / 雲粒粒径分布 / 雲粒の光学的有効半径 / 吸湿性粒子 |
Research Abstract |
東シナ海上で大気汚染物質や黄砂などのブラウン雲が雲粒核作用を通して下層雲の微物理学的性質に与える影響を観測的に究明するために、本年度は下記に述べるように雲粒核数濃度の観測を中心とした研究を実施した: 1.雲粒核計の検定 米国DMT社の雲粒核計による雲粒核数濃度の測定値を、東京大学先端科学技術研究センター所有の単分散粒子発生器と粒子数濃度計測装置を備えた走査式モビリティーパーティクルサイザーで標準物質として硫酸アンモニウムを用い、検定した。その結果、DMT社の雲粒核計は雲粒核として活性可能な硫酸アンモニウム数濃度よりも約3倍高い数濃度を示すことが見出された。 2.沖縄辺戸岬における観測 平成20年2月17日に沖縄県国頭郡国頭村の国立環境研究所沖縄辺戸岬大気・エアロゾル観測ステーションに上記のDMT社製雲粒核計さらにSIGMATEC社製の雲粒核計の2台、KANOMAX製光学式エアロゾルカウンター1台と米国MAGEE社製エーサロメーター1台を持ち込み、観測を行なった。この観測では共同研究として、東京大学先端科学技術研究センターが高精度のエアロゾル粒径分布を、国立環境研究所がエアロゾルの粒径別化学組成を、また千葉大学が雲レーダーで下層雲の分布と構造などの観測を行なった。観測資料の現場における簡単な解析で、これまで次のような結果が見出された: (1)風向が北西〜北の場合、ブラックカーボン(黒状炭素)濃度がしばしば1500〜4200ng/m^3に達する高い値が観測され、東シナ海上大気が人間活動起源の汚染物質で激しく汚染されている可能性が高い。 (2)大気エアロゾルの粒径はその多くが大粒子(d>0.1μm)からなり、これらが雲粒核数濃度の決定に重要な役割を果たしていることが推定された。これは大気汚染物質が発生源から長距離輸送され、長時間大気を漂ってきたことによるものと考えられる。
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