2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510018
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
福間 浩司 Doshisha University, 理工学部, 准教授 (80315291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 博志 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (80311869)
林田 明 同志社大学, 理工学部, 教授 (30164974)
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Keywords | 環境変動 / 気候変動 / 地球電磁気 / 磁気記録 |
Research Abstract |
中国から北西太平洋に広がる東アジア地域はユーラシア大陸から飛来したダストから成る堆積物が世界で最も顕著に発達している地域であり,人類の歴史と気候変動の関連を研究するための重要なフィールドである.一方,ダスト堆積物中で生成する磁性ナノ粒子の粒径は気温や湿度を敏感に反映し,過去の気候変動を記録している重要な記録媒体である.本年度は中国の南京郊外に位置する旧石器遺跡である和尚敦遺跡から得られたダスト堆積物の磁気ヒステリシス測定を詳細に行い,ヒステリシスパラメータから磁性ナノ粒子の粒径と種類の変化を求めた.寒冷期においては単に土壌化による磁性ナノ粒子の生成が抑制されるだけでなく,磁鉄鉱の選択的な溶脱が進み,磁性鉱物の総量が減少し赤鉄鉱の相対的な比率が高くなることがわかった.逆に温暖期においては磁鉄鉱や赤磁鉄鉱に加えて赤鉄鉱が土壌化により生成し,色調だけでなく磁気的性質にも顕れることがわかった.このことは,磁気ヒステリシス測定により,通常の磁化率の測定だけでは明らかにすることのできない詳細な気候変動を復元できる可能性を示している.ダスト堆積物においては従来のように気候のプロキシとして磁化率を担う磁鉄鉱/赤磁鉄鉱のナノ粒子の土壌中での生成のみを考えるのではなく,赤鉄鉱などの他の磁性鉱物の存在や磁鉄鉱/赤磁鉄鉱のナノ粒子が生成した後に溶脱などの過程が働くことも考慮して気候変動を復元する必要があることが明らかになった.
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Research Products
(3 results)