2008 Fiscal Year Annual Research Report
渦相関フラックス測定に伴う熱収支インバランス現象の解明
Project/Area Number |
19510020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 力 Hokkaido University, 低温科学研究所, 教授 (60353918)
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Keywords | フラックス / 渦相関法 / 熱収支 / インバランス / タワー観測 / LES |
Research Abstract |
森林上の渦相関法によるタワー観測は通常、様々な制約から、森林群落の存在の影響を強く受けた大気層(粗度層)で行われる。粗度層では、群落高の数倍におよぶ大規模な乱流構造が卓越し、フラックスの輸送に少なからぬ影響を及ぼしている。そこで、LESを用いて群落内外の乱流を再現し、卓越する乱流の構造を抽出した。その結果、粗度層における鉛直風の変動を引き起こすのは、群落高と同程度の大きさをもつ渦が弐主体である一方で、水平風の変動は、その10倍程度の大きさをもち、流れ方向に長く延びた構造をもつ乱流場によってもたらされることが明らかとなった。このことは、植生上の乱流構造の発達メカニズムを解明する上で重要な知見となるものである。しかし、いずれの乱流構造も、渦相関法の通常の平均時間(30分)の問に十分にサンプリングされるため、これらの大規模乱流構造の存在が、熱収支インバランスの原因ではないことが確認された。 一方、森林総合研究所の川越タワー観測サイトで得られた過去の渦相関データによると、熱収支インバランス現象が起こる際に、しばしば、温度変動と比湿変動との相関係数が低下していること、つまりスカラー間の相似性が成立していないことが明らかとなった。そこで、大気境界層のLESを用いて、対流混合層におけるスカラーの挙動を再現し、接地層内でスカラー間の相似性が成り立たなくなる要因を検討した。その結果、地表面フラックスや混合層上部でのエントレインメントによるフラックスの向きや大きさの兼ね合いが要因の1つであることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)