2009 Fiscal Year Annual Research Report
黄砂の変質による吸湿特性の変化と、その光散乱・雲生成への影響についての研究
Project/Area Number |
19510022
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
財前 祐二 Japan, Meteorological Research Institute, 環境・応用気象研究部, 主任研究官 (70354496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 宙 気象庁気象研究所, 環境・応用気象研究部, 研究官 (80354497)
酒井 哲 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 主任研究官 (00377988)
皆巳 幸也 石川県立大学, 生物資源環境学部・環境科学科, 准教授 (90290080)
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Keywords | 黄砂 / エアロゾル / 光散乱 / 化学反応 / 吸湿特性 / 東アジア / 等圧法 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
平成21年3月及び4月に、つくば、福岡、石川県宝達山において黄砂サンプルを採取した。電子顕微鏡で分析した結果、黄砂粒子には、珪素、アルミニウム等を主成分とする粒子とカルシウムを主成分とする粒子が存在した。このうち珪素を主成分とするものは、従来から考えられているような不規則形状が多かったが、カルシウムを主成分とするものの多くは、球形、または結晶形を示し、液滴として空気中に存在したことが示唆された。 宝達山頂で採取した降水試料を化学分析、および不溶性粒子(濾過残渣)の観察を行った。その結果、降水には鉱物由来の粒子に加えて、生物由来の粒子(花粉と思われる)、燃焼過程を経て生成した粒子が共存していたことが推測された。 人工発生させたカルシウム粒子、及び標準黄砂粒子を実験的に変質させることを試みた。高濃度の二酸化硫黄に曝露した結果、変質はほとんど見られなかったが、高濃度の硝酸ガスに曝露した場合は、電子顕微鏡観察で形態変化が認められ、さらに高湿度環境下では液滴に変化した。この結果から黄砂の変質(水溶性化)は、黄砂中のカルシウムと硝酸の化学反応によって起こる可能性が示唆された。 偏光ライダーで測定される偏光解消度を定量的に解釈するため、実験室で黄砂等エーロゾルをチャンバー内に発生させて、ライダーで偏光解消度を測定した。黄砂の偏光解消度は、1μm以上の粒子数が多い場合28±3%(平均±標準偏差)、1μm以下が多い場合12±2%であった。サハラダストの値は、それぞれのサイズ分布について28±3%、15±2%であった。サイズが大きいダストの測定値は、過去に報告されている自由対流圏ダスト層観測値(21~26%)と対応することが分かった。
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Research Products
(10 results)
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[Book] 黄砂2009
Author(s)
財前祐二(分担執筆、第7章7.2.2)
Total Pages
342
Publisher
古今書院
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[Book] 黄砂2009
Author(s)
酒井哲(分担執筆、第4章4.1)
Total Pages
342
Publisher
古今書院