2008 Fiscal Year Annual Research Report
単成分対流圏模擬粒子と実大気エアロゾル粒子上でのHO2ラジカル取り込み係数の測定
Project/Area Number |
19510026
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
金谷 有剛 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球環境フロンティア研究センター, サブリーダー (60344305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹谷 文一 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, ポストドクトラル研究員 (50377785)
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Keywords | HO_2ラジカル / 不均一反応 / 取り込み係数 / エアロゾル / 実大気試料 / 地球変動予測 / 大気現象 / 環境質定量化・予測 |
Research Abstract |
対流圏におけるHO_2ラジカルの消失過程として、エアロゾルとの不均一反応による取り込み過程の寄与を明らかにすることを目的とし、エアロゾル粒子によるHO_2取り込み係数γの測定実験を本課題で制作したエアロゾルフロー管とレーザー誘起蛍光法を組み合わせた実験装置で行った。バイオマス燃焼での主成分であるレボグルコサンエアロゾル粒子への取り込み係数は0.01以下(相対湿度20%)から0.13(相対湿度92%)と湿度に大きく依存していることが明らかとなった。利尻島において大気エアロゾル粒子をフィルター上にハイボリュームエアサンプラーを用いて捕集した。過去に実験室で水抽出後、実大気エアロゾル粒子を再生し、取り込み係数計測を総合すると、取り込み係数は0.15-0.4の範囲で変化する(相対湿度75%)ことが明らかとなった。これらの値は単成分対流圏模擬エアロゾル粒子における取り込み係数よりも大きな値であり、実大気エアロゾル粒子中の微量成分がHO_2の取り込みに影響を与えていることが示唆された。その中でも、取り込み係数のエアロゾル成分濃度依存から、金属成分(銅、鉄)が正相関を示した。これらの結果を用いてHO_2/エアロゾル粒子の不均一反応の有無によるボックスモデル計算を行った結果、HO_2濃度は最大60%まで減少することが明らかとなった。また、オゾンの生成速度に関してもHO_2ラジカルの不均一消失を考慮した場合、最大70%まで低下することが示された。以上のことから、HO_2ラジカルのエアロゾル粒子への取り込み過程はHO2濃度自身だけでなく、他の重要な大気微量成分の濃度変動へも大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。
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