2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青野 正二 Osaka University, 人間科学研究科, 准教授 (40273479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 園子 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00030015)
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Keywords | 音環境 / 評価 / 視聴覚 / 印象 / モデル化 |
Research Abstract |
近年の音環境の評価に関する研究では,被験者を用いた心理実験を実施し,多変量解析等の結果を基にした検討が多く見受けられるようになった。本研究では,従来の音環境評価に対して,因果関係のような評価構造を導入することを考え,そのような概念的な構造を,何らかの統計的・確率論的手法を用いてモデル化し,図示することを目標とする。 そこでまず,説明力のあるモデルを構築するには,どのような手法をどのように適用すればよいのかを検討した。用いる手法としては,古典的パス解析,構造方程式モデリング(共分散構造分析),グラフィカルモデリングなど(これらはまとめてグラフィカル多変量解析と呼ばれる)を取り上げた。ただし,このような手法を用いる場合には,因果仮説の設定が重要であり,大きな問題点にもなりうる。つまり,従来の多変量解析では得られない変数間に内在する関連性を見出すことができる反面,前もってある程度の関連性を予測しておかなければ,解が収束しなかったり,不適解が得られることが多々ある。また,データに適合するモデルは複数存在する可能性があり,適合度が高いからといってそのモデルの妥当性が高いとは限らない。これらを踏まえ,平成14〜15年度科学研究費補助金基盤研究(C),課題番号14510097「視覚情報が環境音の印象に及ぼす影響について」で得られたデータを用いてシミュレーションを行った。まず,あらかじめグラフィカルモデリングの手法を用いて,変数間の関連性(因果関係)を定量的に検討しておき,モデルの候補を絞り込む。続いて,構造方程式モデリングを実行し,その途中でモデルの再検討が必要な際には,その都度グラフィカルモデリングに立ち返って修正を加える。このように複数の手法を連携させることで,より説明力の高いモデルの構築が可能であることが示唆された。
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