2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510029
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青野 正二 Osaka University, 人間科学研究科, 准教授 (40273479)
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Keywords | 音環境 / モデル化 / グラフィカルモデリング / パス解析 / 評価構造 |
Research Abstract |
本研究の目的は,視覚および聴覚から得られる情報に基づく音環境(の心理学的)評価のモデル化を行うことである。今回は,従来の音環境評価に対して,因果関係のような階層的な評価構造を導入することを考え,その構造を多変量解析などの統計的手法を用いて図式化することを試みた。一般に,多変量解析により因果関係のような構造をモデル化する場合,データに適合するモデルは複数存在することが考えられ,適合度が高いからといって,必ずしもそのモデルの妥当性が高いとは限らない。そこで,あらかじめグラフィカルモデリングと呼ばれる解析手法を用いて,階層間の関連性を検討しておき,データの説明力の高い構造をモデル候補として絞り込んだ。ここで得られた概念的な構造を出発点とし,共分散構造分析の一種であるパス解析を実行した。この一連の手順の途中で,モデルの修正が必要な際には,適宜グラフィカルモデリングに立ち返り,モデルに修正を加えた。以上のように両者を連携させて,適合度の高いモデルの構築を目指した。今回用いたデータは,以前著者らが実施した音環境の印象評価に関する視聴覚実験のSD評定尺度値である。このデータの中から,聴覚情報および視聴覚情報による評定尺度値を選んだ。さらに観測変数については,因果(階層)構造を表現するのに適切と考えられるものを抽出した。このように選択されたデータ、をもとに,上記の手順でモデル化を実施したところ,聴覚情報と視聴覚情報による因果構造には顕著な違いが見られ,音環境への視覚情報の関与が指摘された。今後,観測変数だけでなく潜在変数を導入したモデルの検討が課題として挙げられる。
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