2008 Fiscal Year Annual Research Report
国際機関を通じた環境協力と健康評価高度化を目的とする多試料同時分析システムの開発
Project/Area Number |
19510034
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
世良 耕一郎 Iwate Medical University, 医学部, 教授 (00230855)
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Keywords | PIXE / 真空・大気同時分析 / 有害元素 / 体内暴露 / 定量分析法 / 環境汚染 / 健康影響評価 |
Research Abstract |
平成19年度において、真空・大気同時分析のためのX線計測用電子機器が整備され、また大気PIXEにおける定量分析法が開発され、真空・大気同時分析の基盤が整えられた。 平成20年度には、実使用に耐えうる真空・大気同時分析法が確立され(次頁文献1)、その精度・測定効率の検証が行われ、最適なビーム輸送条件が検討された。その結果、実際の共同利用分析に同分析システムが応用可能となった。さらに大気PIXEにおける毛髪試料に対する無標準法が新たに開発され(次頁文献2)、アジア地域における有害元素汚染地域住民の毛髪分析が、大気PIXEにおいても可能となり、マシンタイム不足の問題がほぼ解消された。現在同システムを用いて、ナノ粒子発生源として注目を集めているエンジンオイル試料に対する無標準定量分析法等の開発が行われている。 有害元素暴露健康影響の地域的・鉱物学的解釈に関しては、アジア数カ国の汚染地域住民の毛髪、さらに小規模金鉱山における土壌・水・植物などの試料を採取しその分析を進めた結果、健康影響への因果関係や有害元素暴露のメカニズムが明らかにされつつある。また人民の健康評価に関しては、ヒゲ・毛髪試料を用いた経日的体内元素濃度変化の評価法が確立され、食物・飲料摂取との因果関係を明らかにする強力な方法として応用が期待される。 分担者村尾がCCOP(東・東南アジア地球科学計画調整委員会)のバンコク駐在員となり、同機関との協力関係がさらに緊密なものとなった。平成20年11月にはバンコクで行われた「CCOP-CASM Asia-Pacific FAO Colloquium on PIXE」において世良が特別講演を行い、有害元素広域的汚染解決に向けての共通認識を深め、特に食料汚染問題に対する具体的対策立案の方向性が確認された。また試料取集や、成果の人民への還元に必要なネットワーク確立に関しても、具体的成果があげられた。
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[Journal Article] Studies on Changes of Elemental Concentration in a Human Body by Means of Analyses of Long Hairs on the Basis of the Standard-Free Method.2009
Author(s)
Sera, K., Terasaki, K., Sasaki, T., Goto, S., Saitoh, Y., Itoh, J.
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Journal Title
Int'l Journal of PIXE (受理済み)
Peer Reviewed
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[Journal Article] Standard-Free Method for Hair Samples in In-Air PIXE.2008
Author(s)
Sera, K., Terasaki, K., Itoh, J., Saitoh, Y., Sakurai, S.
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Journal Title
Int'l Journal of PIXE 18-1, 2
Pages: 21-30
Peer Reviewed
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