2009 Fiscal Year Annual Research Report
健全な水循環と公平な地域便益分配に資する農業資源維持管理法に関する研究
Project/Area Number |
19510047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木山 正一 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (20293920)
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Keywords | 地域環境保全と持続的開発 / 農村管理 / 水質汚濁 / 排出量削減 / 政策分析 |
Research Abstract |
本研究は広がる地域経済格差,荒廃していく農村コミュニティと関連地域の環境損失のような持続可能な農村形成で直面する多様な社会問題の解決を環境政策学手法により取り組むものである.農村単体での当該問題解決が難しい中で,特に地域間協働による農村資源管理を創生する制度設計を検討した.水は人類・生態系にとって不可欠な資源であり,その汚染は流域市民にとって共通の関心事であると考えられる.農村の主幹産業である農業部門はその流域生産額シェアは小さいものの,水質汚濁物質の環境負荷原単位は総じて大きいことが地位間産業連関分析により判明した.そのため農産物栽培への環境技術移転は持続的な農村形成のために強く求められる.こうした持続的な農業開発と水質環境保全を結び付ける制度として,補助金政策と投資制度について検討した.前者は中長期的な営農継続を実現するように現行の補助金計画を見直したものである.後者は流域家計が水質保全型栽培法を行う農家に投資する制度であり,農家とその他流域家計が双方向の働きかけにより経済・環境便益を得るものである.以上の制度に関する政策変数を考慮した地域動学的一般均衡モデル作成,2地域4部門社会会計表を用いてシナリオ分析した.その結果,人口減少率を超える水質汚濁物質排出量規制を課した場合,補助金制度においては地域経済波及効果により最終年流域生産額が基準年を上回ることが示された.また補助金制度は農村都市間の経済成長格差を助長するが,流域投資制度は一部産業部門の経済成長率を僅かに減少させるものの,地域経済成長を最大化し,かつ地域経済格差を是正しうることが明らかとなった.また投資制度が最良の水質保全に係る環境効率をもたらすことも示された。
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Research Products
(4 results)