2009 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物産業連関分析に基づくマテリアルフロー分析モデルの動学化とその応用
Project/Area Number |
19510050
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中村 愼一郎 Waseda University, 政治経済学術院, 教授 (20180367)
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Keywords | 環境マネジメント / 環境経済 / 再資源化 / 有価物回収 / ゼロエミッション / 廃棄物発生抑制 / 純粋金属保全 |
Research Abstract |
鉄鋼は金属材料の中でも最も使用量が多くかつ電炉によるリサイクルも広範に行われている.しかし,鉄鋼製品の内容は多岐にわたっており,多くの場合に機能を発揮するために各種の合金元素が使われている.典型的な例がステンレスに使われるCrやNiである.リサイクルにおけるこれら合金元素のベースメタルスクラップへの混合は合金元素の散逸を生じると共にベースメタルの一次材による希釈をも必要とするので二重の意味で環境負荷を生じている.混合を防ぐ分別によりこの問題は解決できるが,フェライト系ステンレスの場合には磁力選別が有効でなく,実際,60%強は個別回収されずに炭素鋼スクラップに散逸している.ここで重要なのが易分解設計である.水素吸収合金を用いた易分解ネジ(Active Disassembly Fastener, ADF)について廃棄物産業連関分析を用いた実装システムのLCA評価を行った.現状技術ではスクラップへの混入が生じるため混入度によっては電炉において一次材による希釈が必要であるが,ADFを用いると混入を回避できるので希釈は不要である.一方,ADF生産にはミッシュメタルが必要であるし,その活性化には水素と追加的熱供給が必要である.LCAを実施するために電炉技術及び冷蔵庫・洗濯機への実装を特定化した.鉄スクラップは電気・電子製品においてごく限定的にしか利用されていないので,電炉生産を機能単位に計上しないとリサイクル需要が考慮できない.希釈が必要な場合,機能単位に計上される電炉生産もその分だけ多くなる.ADFを使用した場合も同量の電炉生産を計上することで機能単位を統一化し,評価を可能にした.ただし,ADFの場合には銑鉄ではなく混合の無いスクラップが使用できるとした.WIOを用いた解析により,ADF導入により化石燃料起源CO2を現状に比べて有意に減少できるとする結果が得られた.
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Research Products
(4 results)