2007 Fiscal Year Annual Research Report
染色体分配機能破綻による遺伝的不安定性誘発と細胞がん化における役割
Project/Area Number |
19510054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
布柴 達男 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10270802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 和生 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (20093536)
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Keywords | 非変異原性発がん物質 / Aneuploidy / 染色体不均等分配 / phenyl hydroquinone / morphogenesis checkpoint / 細胞周期 / 細胞がん化 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
昨年度までに、非変異原発がん物質である輸入柑橘類の防カビ剤o-phenyl phenolの代謝物、phenyl hydroquinone(PHQ)が出芽酵母に染色体異数化を引き起こすこと、B-チューブリンと相互作用し解離阻害を引き起こすこと、細胞周期をG2/M期でarrestさせることなどを見いだした。これを受けて本研究ではさらに詳細にPHQの作用機序を分子レベルで検討し、PHQによる染色体異数化機構および細胞がん化への寄与を明らかにすることを目的とした。 本年度の成果は以下の通りである。1)PHQ処理した酵母細胞に、異常なbudの形態を見いだした。これはmorphogenesis checkpointの活性化の可能性を示唆する。2)このpathwayに関わるHog1、Swe1などの修飾を調べ、PHQ処理細胞では、Swe1(ヒトWee1)の安定化、その上流のHog1(ヒト p38 MAPK ホモログ)のリン酸化を確認した。Swe1の安定化によりCdc2/CyclinB1が不活性化されたためG2/Mの境界で細胞周期が停止することが分かった。3)このHog1やSwe1の破壊株ではPHQによるG2/Mの境界での細胞周期停止が認められず、染色体異数化が抑制された。4)ヒト培養細胞でもPHQが染色体異数化を引き起こす。 以上の結果は、PHQがmorphogenesis checkpoint pathwayを誘発し、細胞周期を停止させることが染色体異数化誘発に必要であることを示唆している。しかしどのような機構でPHQがmorphogenesis checkpointを誘発させるのか、その結果としての細胞周期停止がどのように染色体異数化を引き起こすのかは今後の課題である。ヒト培養細胞でも異数化が観察されたことから、今後PHQの作用機序を明らかにし、異数化やがん化の機構を明らかにしたい。
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Research Products
(7 results)