2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体分配機能破綻による遺伝的不安定性誘発と細胞がん化における役割
Project/Area Number |
19510054
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
布柴 達男 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, 准教授 (10270802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 和生 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (20093536)
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Keywords | 非変異発がん物質 / Aneuploidy / 染色体不均等分配 / phenyl hydroquinone / morphogenesis checkpoint / 細胞周期 / 細胞がん化 / 出芽酵母 |
Research Abstract |
非変異発がん物質である輸入柑橘類の防カビ剤(o-phenyl phenolの代謝物、phenyl hydroquinone(PHQ)は出芽酵母の細胞周期をG2/M期でarrestさせ、染色体異数化を誘発する。本研究課題では出芽酵母におけるPHQの作用機序、ヒト培養細胞への影響、そして非変異発がん物質による染色体異数化機構や細胞がん化への寄与の解明を目的とした。 成果は以下の通りである。1) チューブリンとの相互作用、G2/M arrestからspindle checkpointが推測されたが、Mad2破壊株でもG2/M arrestが観察され、その可能性は否定された。2) PHQ処理した酵母細胞で異常なbud形態が見られ、Hogl-Swel morphogenesis checkpointが推測された。3) Swel(ヒト Weel)の安定化、その上流のHogl(ヒトp38 MAPKホモログ)のリン酸化がPHQ処理により観察された。4) HoglやSwel破壊株ではPHQによるG2/Marrestがなく、染色体異数化も抑制された。5) ヒト培養細胞でもPHQによる染色体異数化、G2期、M期での遅延、中心体数の異常などを誘発した。6) Mad2 knockdownにより、M期の遅延は抑制されたが、中心体数や染色体数の異常は観察され、誘発へのspindleche ckpointの関与は否定された。 従って、酵母ではPHQがHogl-Swel checkpoint pathwayを活性化しG2/Mの境界で細胞周期を停止させ、それが染色体異数化誘発に必要であること、ヒト培養細胞でもPHQがspindle checkpoint非依存的に中心体や染色体数の異常を誘発することが確認された。しかしHogl-Swel pathway活性化機構、それによる染色体異数化機構、中心体数異常などの誘発機構の詳細については今後の課題である。
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Research Products
(3 results)