2008 Fiscal Year Annual Research Report
放射線や活性酸素で生じる塩基損傷の修復酵素の同定と突然変異抑制における役割の解析
Project/Area Number |
19510056
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
秋山 秋梅 (張 秋梅) Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (00260604)
|
Keywords | 電離放射線 / 活性酸素 / 酸化的塩基損傷 / 塩基除去修復 / 突然変異 / DNAグリコシラーゼ / 線虫 / KsgA |
Research Abstract |
(1) 分裂酵母のSpNth1による8-oxoGおよび酸化ピリミジン損傷に対する塩基除去修復を解析した。SpNth1はTgに加えて5-ホルミルウラシル(5-foU)に対してもDNAグリコシラーゼの活性を示した。SpNth1の8-oxoG:Gに対する活性は比較的強く、大腸菌Nthには無い8-oxoG:Cに対する活性も低レベルながら検出できた。大腸菌Nth-Nei欠損株でSpNth1を発現させると、この二重変異株での自然突然変異および活性酸素高感受性を回復させた。 (2) 線虫C. elegansのウラシルDNAグリコシラーゼ(CeUng-1)をカラムクロマトで精製した。CeUng-1はPBS2ファージ由来のUng特異的阻害剤であるUgiによって活性が阻害された。線虫のung-1遺伝子の突然変異体の欠損の影響を調べた。発生、成長段階の異常、寿命の短縮、突然変異頻度の上昇を観察したが、ung-1変異の影響は現れなかった。(3) 5-foUを含む二重鎖オリゴヌクレオチドを作成し、大腸菌の抽出液とNaBH4存在下で反応させて、シッフ塩基を形成して基質に共有結合するタンパク質の同定を試みた。5-foU/Cの塩基対を含むオリゴヌクレオチドに反応するタンパク質をカラムクロマトで精製した。このタンパク質のN末端のアミノ酸配列を決定して、この配列を使って既知のタンパク質を検索したところ、大腸菌のKsgA (RNAメチル化酵素)と同一であることを見いだした。クローニングしたksgA遺伝子を発現させた大腸菌から精製したKsgAは予想どうり5-foU/Cを認識するDNAグリコシラーゼ活性を示した。その除去する基質は5-foUではなく、その向かい側にあるシトシンであった。さらに、この酵素を欠損するksgA変異株では自然突然変異頻度が増大し、活性酸素増産剤に対する感受性が高くなることが分かった。
|