2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510059
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
伊藤 敦 Tokai University, 工学部, 教授 (80193473)
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Keywords | 高LET放射線 / 間接作用 / 酸化損傷 / 酸素効果 / トラック構造 / 8-oxoG / 8-OHdG / 蛍光抗体法 |
Research Abstract |
高LET放射線の生物作用は、一般に直接作用が主であると考えられている。しかしながら、申請者らの研究も含めて数百keV/μmという高LET領域でも細胞死に対する間接作用の寄与は50%を超えるという報告もなされている。このような背景から、高LET放射線の作用を理解し放射線治療に応用するには、間接作用、言い換えるとラジカル損傷の評価を行うことが重要と考えた。昨年度は、その生成に間接作用の主原因であるOHラジカルと酸素が関与するDNA酸化損傷、8ヒドロキシデオキシグアノシン(8-OHdG)を指標に、その細胞内生成分布を蛍光抗体法によって観察する方法について検討した。今年度はその成果にもとに、炭素線、ネオン線、シリコン線、鉄線において、5Gyという低線量照射で有意な生成を検出することができた。特にLETが高い鉄線の場合は、5Gy照射で細胞核にわずか16イオン通過する計算であったが、実際に粒子飛跡と思われる粒状の蛍光が観察された。本方法での検出限界は、0.4Gyでは未照射と同程度の染色となり、1-5Gyの範囲にあると結論される。今後はさらに標識蛍光色素の工夫により、より高感度の検出を試みること、また、高LET放射線での酸素効果がないという現象にアプローチするために、低酸素下での検出を行うことが重要と考えている。
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Research Products
(6 results)