2008 Fiscal Year Annual Research Report
クラスターDNA損傷に対する修復欠損突然変異株の単離
Project/Area Number |
19510062
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鹿園 直哉 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (10354961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横谷 明徳 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (10354987)
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Keywords | クラスターDNA損傷 / 突然変異 / DNA修復欠損株 / 大腸菌 / 電離放射線 / LET |
Research Abstract |
非2本鎖切型のクラスターDNA損傷の変異抑制に関与する因子の同定を目指すため、大腸菌ストックセンター等から大腸菌株を入手し、P1形質導入法により各種のDNA修復欠損変異株を作成した。それらのうち、fpg、nth,nei,mut Yといった塩基除去修復欠損株を使用し、クラスターDNA損傷による変異誘発頻度が変化するかどうかを調べる実験を行った。 8-oxoGと1本鎖切断からなるモデルクラスターDNA損傷を用いたところ、8-oxoGと対合したアデニンを取り除く活性をもつMutYがクラスターDNA損傷の変異抑制に最も重要であることを明らかにした。また、損傷の配置による変異誘発効果を調べたところ、2つの損傷が互いに相補鎖上にあるときは単独損傷に比べ変異誘発頻度の増加がみられる一方、2つの損傷を同一鎖に配置させると変異頻度は変化しないことを見い出した。さらに、同一鎖に8-oxoGと1本鎖切断、その相補鎖に8-oxoGをもつ3つの損傷からなるクラスターDNA損傷の変異誘発は、8-oxoGと1本鎖切断の2つの損傷が互いに相補鎖上にあるクラスターDNA損傷と同程度であることを明らかにした。これらの結果は、損傷の相対的な配置や数がどのように生物効果につながるのかを示すものであり、放射線生物学的に非常に重要な知見である。 また、クラスターDNA損傷の生物効果を明らかにするため、大腸菌野生株及び塩基除去修復欠損株を様々な線質の電離放射線で照射した。その結果、用いた大腸菌の生存率は線エネルギー付与(LET)の増大によってあまり変化しないことが示された。今後、誘発突然変異のLET依存性を調べる予定である。
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Research Products
(16 results)