2009 Fiscal Year Annual Research Report
クラスターDNA損傷に対する修復欠損突然変異株の単離
Project/Area Number |
19510062
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
鹿園 直哉 Japan Atomic Energy Agency, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (10354961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横谷 明徳 日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究主幹 (10354987)
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Keywords | クラスターDNA損傷 / 突然変異 / DNA修復欠損株 / 大腸菌 / 修復合成 |
Research Abstract |
本課題では、いまだ未解明である非2本鎖切型のクラスターDNA損傷の生物作用に関与する因子/経踏の同定を目指すことを目的に研究を進めた。これまで、大腸菌ストックセンター等から大腸菌株を入手し、P1形質導入法により各種のDNA修復欠損変異株を作成した。それらのうち、fpg、nth,nei,mutYといった塩基除去修復欠損株を使用し、クラスターDNA損傷を構成する塩基損傷の位置、種類を変化させながら生物作用を詳細に調べた結果、8-oxoGの変異抑制にFpg及びMutY以外の因子が関与すること、同一鎖にある2つの損傷の生物作用は低いことが明らかになった。これらのことから、クラスターの生物作用には一本鎖切断修復(SSBR)もしくはDNA複製時のDNA合成過程が深く関与する可能性が浮かび上がってきた。 本年度は、塩基損傷を含まない、脱塩基部位や一本鎖切断より構成されるクラスターDNA損傷に関して、その生物作用を野生株で詳細に調べた。その結果、塩基損傷を含まないクラスターDNA損傷の作用は塩基損傷を含むクラスターDNA損傷の作用と大きく異なり、(1)複製効率が非常に低いこと、(2)生き残ったコロニーでの変異頻度が非常に高いこと(3)損傷間が互いに3'方向に配置されているときの方が5'方向に配置されているときに比べ生物作用が高くなること、を見出した。特に、この損傷の方向依存性は生物作用へのSSBRの関与の可能性を示唆するものである。そこで、SSBRの修復合成に関わるPo1Iの欠損株を用いて、クラスターDNA損傷内の損傷の方向依存性を調べた。その結果、生物作用の損傷配置の方向依存性が消失していることが明らかになった。これは、クラスターDNA損傷の修復、さらには生物作用にSSBRが重大な影響を及ぼすことを示す重要な知見である。
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