2008 Fiscal Year Annual Research Report
モデル実験生態系を用いた放射線と化学物質の環境影響の比較評価
Project/Area Number |
19510063
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
府馬 正一 National Institute of Radiological Sciences, 放射線防護研究センター, チームリーダー (40260236)
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Keywords | 放射線 / 化学物質 / 環境影響 / モデル実験生態系 / 相互作用 / 間接影響 |
Research Abstract |
1.平成19年度に得られた、成長期のモデル実験生態系(マイクロコズム)に対するγ線の影響に関する実験結果のうち、生物間相互作用を介した間接影響の特性に関する成果を原著論文としてRadiation Research誌に投稿した。また、放射線と化学物質の影響を比較評価した結果をInternational Conference on Radioecology and Environmental Radioactivityで口頭発表した。 2.安定期のマイクロコズムにγ線を照射し、その影響を調べる実験を開始した。具体的には、培養開始16日目のマイクロコズムに^<60>Coγ線を100、500、1000、5000Gy急照射し、その構成生物種の個体数に対する影響を調べた。平成20年度は、照射25日後までのデータが得られた。その結果は、100Gyでは影響が見られず、500Gyでは貧毛類Aeolosoma hemprichiが死滅し、緑藻類Chlorella sp.と繊毛虫Cyclidium glaucomaが対照よりも減少した。1000Gyでは、A.hemprichiが死滅し、Chlorella sp.、C.glaucoma、細菌は減少した。5000Gyでは、A.hemprichi、C.glaucoma、ワムシ類Lecane sp.が死滅し、Chlorella sp.、緑藻類Scenedesmus sp.、細菌は減少した。このように、観察された影響は概ね線量依存的であったが、藍藻類Tolypothrix sp.は、500Gy以上で対照よりも増加し、生物間相互作用を介した間接影響であることが示唆された。平成21年度は、引き続き個体数の測定を継続し、成長期に照射した場合の影響との相違点を明らかにするとともに、化学物質と影響を比較する予定である。
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