2007 Fiscal Year Annual Research Report
メチル水銀は児脳における甲状腺ホルモンの活性化を阻害し脳の発達を障害する?
Project/Area Number |
19510065
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 克己 Tohoku University, 医学部, 教授 (90166942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 弘毅 東北大学, 病院, 助教 (80301050)
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Keywords | メチル水銀 / 甲状腺ホルモン / 脱ヨード酵素 |
Research Abstract |
前年度にはメチル水銀(MeHg)がマウス神経芽細胞由来のNB41A3細胞のT4脱ヨード酵素タイプ2(D2)活性を阻害することを報告した。今年度はMeHgによるD2の阻害が甲状腺ホルモンの作用に及ぼす影響について検討した。 MeHgはラット下垂体細胞由来のGH3細胞のD2活性を阻害した。また、MeHgはT3による成長ホルモン(GH)の分泌は抑制しなかったが、T4によるGHの分泌を抑制すること(Toxicology 237: 203,2007)を見いだし、D2の阻害を介し甲状腺ホルモンの作用を低下させることが明らかになった。以上の結果から、D2阻害による甲状腺ホルモンの代謝異常はMeHgの毒性発現の機序の1つと考えられる。そこで、下垂体よりもよりMeHgの影響が強くでる脳神経系において、MeHgとD2との関係について検討することを試みた。中枢神経系の実験モデルとしてしばしば用いられ、しかも甲状腺ホルモン応答性遺伝子産物を発現する4種類の細胞を(C6, OS3. GT1-7, human oligodendroglioma cell line)入手し、甲状腺ホルモンに対する反応性について検討したが、すべての細胞でホルモン応答性が失われていた。以上の結果から、cell lineでの検討をあきらめ、新生児ラット脳から採取したastrocyteのprimary cultureを用いて甲状腺ホルモンが細胞増殖およびグリア線維性酸性蛋白発現に及ぼす影響について検討を開始した。また、脳内の甲状腺ホルモン濃度調節にD2とともに重要な役割を演じているT4タイプ3脱ヨード酵素(D3)に及ぼすについて検討しており、MeHgはD3の遺伝子レベル(real-time PCRで解析)には影響しないことを認めた。現在D3活性に及ぼす影響について検討している。
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