2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境汚染と紫外線の複合影響が近年の皮膚発癌増加に及ぼす影響-ヒストン修飾との関連性
Project/Area Number |
19510071
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
伊吹 裕子 University of Shizuoka, 環境科学研究所, 准教授 (30236781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊岡 達士 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教 (40423842)
大浦 健 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教 (60315851)
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Keywords | ヒストン / リン酸化 / 複合影響 / ヒストンH2AX / ヒストンH3 / エピジェネティクス / 光 / 紫外線 |
Research Abstract |
環境汚染物質と太陽光(紫外線)の複合作用による発がん誘導の可能性の有無を、培養皮膚細胞を用いてヒストン修飾という観点から検討した。今年度は代表的な汚染物質である多環芳香族炭化水素(PAHs)を環境汚染物質として選択した。光(擬似太陽光、紫外線)存在下のPAHs作用または、光照射されたPAHsにより、これまで明らかにしているヒストンH2AXのリン酸化以外に、ヒストンH3のリン酸化が引き起されることを見出した。ヒストンH2AXのリン酸化とともに、ヒストンH3のリン酸化も、生存率に影響を示さない程度の低濃度のPAHsで誘導されることが判明し、H2AXのリン酸化と合わせて高感度リスク評価系の一項目となり得ることが示された。最近の報告によればヒストンH3のリン酸化は、プロモーション活性を担うproto-oncogeneであるc-fosやc-junの誘導に関連していることが明らかにされており、複合作用による発がん誘導への関与を現在検討中である。さらに、光照射されたPAHsをLC/MS、GC/MSにより分析した結果、PAHs分解過程の酸化物(例えば、benzo[a]pyreneの酸化物である2-hydroxy-BaP-1,6-dioneなど)がこれらヒストンの修飾を誘導していること、それら酸化物から産生される活性酸素種が関与していることが明らかになった。また、PAHsの光分解には、紫外線B領域の波長が特に重要であることが判明した。
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