2008 Fiscal Year Annual Research Report
単独で重油、工業油、食用油を分解できる新規細菌のキャラクタリゼーションと利用
Project/Area Number |
19510082
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田中 大祐 University of Toyama, 大学院・理工学研究部(理学), 助教 (40360804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 省吾 富山大学, 大学院・理工学研究部(理学), 教授 (60134996)
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Keywords | 新規微生物 / 油分解菌 / 食用油 / 工業油 / 重油 / バイオレメディエーション / Acinetobacter / 富山湾 |
Research Abstract |
富山湾の漁港海水から新規に単離した,食用油,工業油,重油に分解活性を示す細菌Ud-4株は,多様な油汚染環境のバイオレメディェーションに利用できる可能性が考えられる。また,本菌が様々な油を分解できるメカニズムとして,複数の油分解に関わる酵素を産生していることが考えられる。本年度は,食用油の分解に関わるリパーゼ遺伝子の解析を試みた。まず,ザイモグラムなどの予備実験の結果や過去の論文報告から,Acinetobacter sp.のリパーゼは特異的分子シャペロンが存在しないと不活性になる為に,ゲノムDNAライブラリーを構築後にハローアッセイでリパーゼ遺伝子を持つ大腸菌クローンをスクリーニングすることは困難であると考えられた。そこで,既知のAcinetobacter sp.のリパーゼ遺伝子の塩基配列情報を基に,インバースPCR法を利用してリパーゼ遺伝子及びその隣接したDNA領域を取得し,塩基配列を決定した。Ud-4のリパーゼ遺伝子は1017bpの塩基配列,339アミノ酸をコードしていて,推定分子量35.5KDaで,アミノ酸配列の中にリパーゼのコンセンサス配列であるG-X-S-X-Gの存在も確認された。さらに,リパーゼ遺伝子の下流には,リパーゼシャペロンの遺伝子と考えられる1032bpのORFが認められ,344アミノ酸をコードしていて,推定分子量39.1KDaであった。Ud-4のリパーゼとリパーゼシャペロンの予想アミノ酸配列は,Acinetobacter sp. SY-01のそれらと高い相同性83%および69%を示した。また,本研究の新規リパーゼは,プロテオバクテリアのリパーゼファミリーでGroup Iと定義されているものであった。今後,このリパーゼの酵素反応の特徴や,工業油や重油などの鉱物油の分解に関わる酵素遺伝子についても解析を進める予定である。
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Research Products
(1 results)