Research Abstract |
大気圧アルゴンプラズマでNHiラジカル(NH_2, NH, N)を生成させ,それを排ガス中に注入することによりラジカル連鎖反応で高効率に脱硝を行う独創的な反応装置を開発した(特許第3826085号,特許第4096068号)。しかしながら,アルゴンプラズマ内で生成するNHiラジカルの生成メカニズムおよび脱硝反応場におけるNHi, OHラジカルの寿命やその反応メカニズムは不明であり,学術的な解明が急がれる。 本年度は,脱硝反応場でのラジカル反応機構の解明を目的とした。反応機構の構築にあたっては,素反応解析ソフトウエアCHEMKIN V.4.1.1を用い,Glarborg, Dagaut, Glassman, Lindstedt, GRI, Miller and Bowmamら6種のH/N/O系脱硝反応機構を比較し,実験結果と検証した。 脱硝反応場に吹き込まれたラジカル種の違いによる反応温度と脱硝率の関係を機軸に反応機構を推定し,シミュレーションを行った。NHおよびNラジカルは低温で脱硝反応に寄与し,高温ではNH_2ラジカルが主に寄与することが明らかになった。これをもとに反応速度定数を調整し,3次元熱流体素反応シミュレーションに拡張したところ,反応場でのガス混合もまた脱硝反応に大きく影響を及ぼしていることがわかった。今後,反応場でのラジカル種の濃度計測が反応機構解明の糸口となる。次年度は,印加電圧,パルス周波数,アンモニアガス滞留時間,ラジカル吹き込み速度をパラメータとして,N, NHラジカルの自発光強度の変化を調べる。
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