Research Abstract |
本研究は,ハイブリッドエンジンに匹敵する燃費をもつ,近未来のスーパークリーンディーゼルエンジンのためのプラズマ排ガス浄化装置内の反応過程の総合的解明を行うものである。「A.非熱プラズマDPF再生」,「B.非熱プラズマ脱着NOx還元」の二つのシステム要素に関する研究開発を行い,プラズマによる環境浄化に関する様々な学問的知見を蓄積し,成果を統合してディーゼルエンジン排気中の主要有害成分(NOx,PM,HC,CO)を,無害化といえる低レベルまで貴金属触媒を使用しないで同時低減する新型プラズマ後処理システムの反応過程の総合的解明を進め,地球環境の保全に資する。研究成果の概要は以下のとおり。非熱プラズマDPF再生セラミックディーゼル微粒子フィルタに捕集された微粒子の非熱大気圧プラズマによる新規な燃焼再生方式を実証,最適化した。沿面放電素子を用いた効率の良いプラズマリアクタを試作し,最適化を行った。また,プラズマパラメータの計測とシミュレーションを行い,電子温度,電子数密度をできるだけ大きくし,エネルギ効率が最も高くなるリアクター形状,電極形状を決定した。以上の結果を基礎として,コンパクトな装置により従来概念では困難と思われている100℃以下の低温でDPFを再生する方法の確証実験によりDPF再生時間の短縮を実現した。一方のNOx処理ではエンジンの運転モードを切り替え,酸素リッチな状態ではNOxを含む排ガスを一度吸着させ,その後,酸素量が少なくHC,COの多い状態ヘエンジン運転モードを切り替え,プラズマを印加してNOxを脱着・還元させ,同時にHC,COを酸化無害化する新規な方法を実証した。500ppm程度のNOxに対して,吸脱着を繰り返し,連続的に行えることを実証し,ディーゼルエンジン実排ガスを用いて,脱着したNOxを95%以上の効率で除去できるようにシステムの最適化を行った。
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