2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510093
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
田中 哲夫 University of Hyogo, 自然・環境科学研究所, 准教授 (40244694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角野 康郎 神戸大学, 遺伝子実験センター, 教授 (90127358)
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Keywords | 河川改修 / 希少淡水魚 / 治水 |
Research Abstract |
兵庫県河川課は、二分の一確率の治水目標を達成するため、河床や河岸の土砂掘削を主とした河川改修を平成17年度より武庫川上流域で開始した。本研究はこの河川改修による物理的インパクトが、生息する希少淡水魚に与える影響を長期モニタリングし、河川改修の影響を把握し、さらにその影響の軽減策を提示することを目的としている。これまで秋季に一回三日間定置網連続採集を実施していたが、19年度より生息している魚類のより詳細な生活史を押さえるために、春季の調査を追加し、調査地点も二箇所に拡大した。掘削により、河道幅・水深・流速分布が単調化し、特に局所的な深部が消失したが、試験掘削後5年が経過した地点では、これらの生息場所要因はやや回復の傾向が認められる。しかしながら、定置網で捕獲される魚類、特に絶滅を危惧されるシロヒレタビラやカワヒガイは減少を続けている。また19年度は、トゲナベブタムシの分布中心地点で、側面の土砂の除去だけでなく河床を掘削する改修も実施された。 河川改修の方法は、いずれにしても河床勾配をある区間では一定に設計する傾向があり、流水環境と止水環境が交互にモザイク状に出現するようには設計されていない。今回の改修では、河道断面を確保できれば、河道内に障害物を設置する工夫も凝らされており、この障害物を中心に局所的な深場やそれに付随するシェルターの復活や堆積環境の再生が期待できるものと考えられ、入れ物である物理環境と住人である淡水魚のモニタリングを息長く続ける必要がある。
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Research Products
(1 results)