2008 Fiscal Year Annual Research Report
水銀、カドミウム等重金属ファイトレメディエーションのためのバイオエンジニアリング
Project/Area Number |
19510094
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
清野 正子 Kitasato University, 薬学部, 准教授 (30239842)
|
Keywords | 環境技術 / 土壌汚染防止・浄化 / 有害化学物質 / 植物 / 育種学 / 土壌汚染 / ファイトレメディエーション |
Research Abstract |
本研究では、毒性が軽減された形の重金属を植物に高蓄積させるための新規バイオエンジニアリングを施すことにより、汚染地域の浄化と重金属のリサイクルを目指した次世代型低負荷環境修復技術を確立することを目的とした。トランスジェニック植物の作出に際しては、(1)細菌由来の重金属トランスポーター(MerC)の植物細胞膜局在化及び重金属輸送能の付与、(2)MerCの植物解毒器官である液胞膜局在化及び重金属液胞隔離(高蓄積)能の付与という二段階構想をもっている。細菌由来のMerCは無機水銀、カドミウムを細胞外から細胞内へ輸送するトランスポーターである。また、シロイヌナズナ由来のSNAREファミリーのAtVAM3は液胞膜に特異的に局在する一回膜貫通型の膜タンパク質である。本研究では、MerCを液胞膜へ効率的に輸送させるために、輸送制御タグとしてAtVam3を融合したmerC-AtVAM3融合遺伝子を作成し、植物ベクターpMAT137に組換え、常法に従いシロイヌナズナに形質転換した。次に作成した遺伝子組換え植物を用いて、ゲノムPCRにより目的遺伝子のゲノムへの組換え、RT-PCRにより目的遺伝子の発現をmRNAレベルでそれぞれ確認した。さらに遺伝子組換え植物体の水銀耐性および蓄積性について検討した結果、merC-AtVAM3遺伝子組換えシロイヌナズナにおいて、水銀耐性は野生株とほぼ同程度であったが、水銀蓄積性は野生株に比べ高い傾向が認められた。以上の結果より、merC-AtVAM3遺伝子組換え植物体は、水銀耐性を低下することなく水銀高蓄積性を示し、水銀浄化に適していると考えられた。
|