2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510098
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
前田 和幸 National Fisheries University, 海洋機械工学科, 教授 (30399638)
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Keywords | 小型漁船用ディーゼル機関 / PM(粒子状物質) / PM低減装置 / 大気環境保全 |
Research Abstract |
本研究は、小型漁船から排出されるPMを低減するために、排気管に取り付けるタイプのフィルタ式PM低減装置を開発し、実験室のテスト機関及び実船に取り付けて、その効果を確認するとともに改良を行い、実用化を図ることを目的としている。平成21年度は、まず、昨年度作製した最高使用温度1260℃、平均繊維径2.8μmの耐熱材料を、50メッシュのステンレス製ネットで挟む構造のPM低減フィルタとPM再生用ヒータを一体化したPM低減装置を、実験室に設置された小型高速ディーゼル機関(103kW/2400rpm)に取り付け、実用化に向けた性能試験を実施した。その結果、PM中に含まれるSootはほぼ100%除去できるとともに、再生用ヒータを用いて装置内部の温度を600℃以上にすることによりSootを燃焼させ、繰り返し使用できることを確認した。しかし、温度上昇に比例して増加する装置からの放熱のため加熱エネルギーのロスが生じ、低減フィルタの周辺部にSootが残り性能が低下することが明らかとなった。次に、265kW/2200rpmの小形高速ディーゼル機関を装備する総トン数12トンの小型漁船と、3,900kW/210rpmの大形低速ディーゼル機関を装備する総トン数2,352トンの漁船を用いた実証試験を行った。この実験により、PM低減フィルタをそれぞれの排気管から希釈トンネルに至る排気トランスファラインに設置した場合の、PM低減フィルタの有無によるPM捕集量の違いと成分の違いを明らかにした。その結果、今回開発したPM低減フィルタはPM中のsoot分はほぼ100%除去できるが、SOF分とSulfate分は高温下においてはフィルタを抜けていくため、更なる改良が必要であることが明らかになった。以上の結果から、本研究により開発したPM低減装置は、小型漁船から排出されるPMを半減できることが判明した。
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