2007 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型バイオポリSステルの生合成遺伝子の分子解析とその生産システムの開発
Project/Area Number |
19510102
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
松崎 弘美 Prefectural University of Kumamoto, 環境共生学部, 准教授 (30326491)
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Keywords | 環境調和型バイオポリエステル / 生分解性プラスチック / ポリヒドロキシアルカン酸 / PHA / Pseudomonas |
Research Abstract |
微生物が合成するポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は環境調和型バイオポリエステルとして注目される。幅広い基質を利用できるPseudomonas sp.61-3のPHA重合酵素遺伝子を用い、重合酵素の基質となるモノマー供給系を代謝制御工学的に調節することにより様々な物性を有するPHAの創製が可能となった。しかし、最良なセルフクローニング系組換え株でもPHAの蓄積率は45%程度であった。そのため、PHA生合成関連遺伝子を詳細に解析することがPHA生産システムの開発と実用化につながると期待した。まず、PHA顆粒に特異的に結合するタンパク質を重合酵素とともに共発現させPHA生合成に及ぼす影響について調べたが、PHAの組成比と蓄積率に影響を与えなかった。次に、多コピーベクターを用いて、PHA重合酵素およびモノマー供給系酵素の発現量増加による組換え株のPHA蓄積率向上を検討した。Pseudomonas putida GPp104およびRalstonia eutropha PHB-4を宿主とした組換え株では、炭素源に糖または脂肪酸を用いた場合、従来法に比べて蓄積率が向上した(最大60%)。しかしながら、PHAのモノマー組成については3HB分率(炭素数4)が低く3HA分率(炭素数6〜12)が高くなった(非晶質の高分子)。同様に、セルフクローニング系のPseudomonas sp.61-3(phbC::tet)(短鎖長モノマーに特異的なPHA重合酵素遺伝子破壊株)の組換え株では、糖および脂肪酸のどちらの炭素源を用いてもPHA蓄積率は30〜55%と従来法と変わらず、糖から合成されたPHAの3HB分率は38〜82mol%と従来法(90mol%)よりも低下した。また、PHA生合成遺伝子の発現量を半定量RT-PCRにより調べ、炭素源の種類によって重合酵素の発現量が異なることがわかった。
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