2007 Fiscal Year Annual Research Report
分子性加橋のナノ構造およびナノ物性発現機構に関する理論的研究
Project/Area Number |
19510108
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中西 寛 Osaka University, 大学院・工学研究科, 助教 (40237326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠井 秀明 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00177354)
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Keywords | 原子架橋 / 分子性架橋 / ナノ構造 / 走査トンネル顕微鏡 / 磁性 / 第一原理計算 / 量子化コンダクタンス / 吸着 |
Research Abstract |
分子性架橋のガスセンサーとしての機能性を探るため、Feテープポルフィリンについて、CO、NO、O_2吸着特性を第一原理計算を援用して調べた。その結果、FeテープポルフィリンのFe原子には、CO、NO、O_2分子とも安定に吸着することが見出された。吸着構造は、COのみポルフィリン分子面に対し垂直(90°)で、NO、O_2では傾いて(それぞれ58°、32°)吸着することが分かった。COの場合、CO分子のσ結合軌道とFeのd軌道が、吸着における結合軌道となるため、ポルフィリン分子面に対しCO分子軸を垂直にして吸着したが、NO、O_2の場合は、NOおよび、O_2のσ結合軌道の関与が少なく、π*反結合軌道の寄与が大きいため、分子軸を傾けて吸着していた。なお、これらの吸着構造は、それぞれの分子が吸着したFeポルフィリン分子に対するX線構造解析の実験結果と良く符合した。 さらに、それぞれの吸着によるテープポルフィリンの電気伝導性について調べたところ、CO、NO吸着では金属から半導体へ、O_2吸着ではハーフメタリックへ変わることがわかった。 これらの結果は、ガス分子センサーとしての機能性をテープポルフィリンが有していることを示している。
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