2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己形成量子リングを用いた励起子アハロノフ・ボーム効果の検証
Project/Area Number |
19510113
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
黒田 隆 National Institute for Materials Science, 量子ドットセンター, 主幹研究員 (00272659)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間野 高明 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主任研究員 (60391215)
|
Keywords | 量子ドット / 半導体 / 励起子 / アハロノフ・ボーム効果 / 磁気分光 |
Research Abstract |
本研究では最近申請者らが作製方法を確立した、半導体リング状ナノ結晶(量子リング)を対象に、単一の量子リングにおける磁気光学応答を観測し、励起子状態のアハロノブ・ボーム(AB)効果の検証を行うことを目的とする。計画段階においては、物材機構の大型磁石を使い、強磁場環境で駆動する顕微分光システムを組み立てることが最初の課題であったが、運良く、フランスの研究機関が所有する当該装置(磁場強度10T)を使用する機会を与えられたので、そちらで実験を遂行した。先方の分光装置が赤外域の光検出に最適化してあったところを、可視域の実験に対応できるように、各種構成部品を交換し、組み立て直し、装置評価が終えるまでに3ヶ月を費やした。新しい量子リング試料において顕微発光スペクトルを観測したところ、単一の量子リング由来の発光信号が再現よく現れることを確認した。比較的半径が小さな2重量子リングの試料において、狭線幅のスペクトルが観測出来たので、これを対象に磁場実験を実施した。磁束侵入を促すファラデー配置において、単一量子リング発光の磁場依存性を観測した。円偏光成分を分解してスペクトルを取得すると、6Tの磁場強度を境に、ゼーマン下準位からの発光強度がおおむね20%程度、減少することを見いだした。パルス励起下で発光寿命の測定を実施したが、寿命の変化に優位な差は見られなかった。実験結果は、励起子AB効果の出現と似合っているが、確度の高い判断には数値シミュレーションによる定量比較が必要である。実験結果について、学会発表ならびに論文発表を行った。
|
Research Products
(3 results)