2007 Fiscal Year Annual Research Report
サーファクタントエピタキシ-法を用いた金属/セラミックス多層膜の構造制御と物性
Project/Area Number |
19510114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神子 公男 The University of Tokyo, 東京大学・生産技術研究所, 助教 (80334366)
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Keywords | サーファクタント / エピタキシャル / 結晶成長 / 表面・界面物性 / ナノ構造制御 / 多層膜 / シーディッドエピタキシー / スパッタ蒸着 |
Research Abstract |
サーファクタント・エピタキシー法を金属薄膜やセラミックス薄膜作製に応用し、その効果を基礎的に研究した。以下にその概要を示す。 金属/セラミックス多層膜作製への基礎としてFeやCoの薄膜作製時に数種類のサーファクタント(Ag、 Pb、 Bi)を用いてその効果を調べた。薄膜作製には分子線エピタキシャル装置とスパッタ装置の双方を用いた。サーファクタント原子はそれら蒸着原子の表面拡散や界面拡散を抑制し、層状成長やエピタキシャル成長を促進させる効果があることを見出した。また、最も効果的にサーファクタント効果をもたらすサーファクタントの蒸着量には最適値が存在すること、その最適値も基板の結晶方位や蒸着温度に依存して変化することが判明した。基板の結晶方位によるサーファクタント効果の変化を系統的に解析した事はこの分野での研究では過去に例を見ないものである。 次に、サーファクタント法を用いる前段階として、まず良質なFe/MgO、 Co/TiO_2多層膜等の作製をスパッタ装置を用いて試みた。一般的にTiO_2膜の場合、ルチル構造が出やすいが、光触媒としてより効果的に機能する準安定的なアナターゼ構造を有するTiO_2のエピタキシャル膜を作製することは容易ではない。本研究において、特殊なシード層を用いることで、アナターゼ構造を持つエピタキシャル成長したTiO_2薄膜が金属薄膜上で得られた。 以上の結果を踏まえ、実際に金属/セラミックス多層膜の作製にサーファクタント法を応用した。現在までに、明確なサーファクタント効果が得られていない。この理由はPbやBi等の融点の低いサーファクタントはセラミックス薄膜作製時の温度が比較的高温であるため薄膜作製中に脱離してしまうことが原因であることが分かった。このためAg等の比較的融点の高い物質をサーファクタントとして用いることで研究を推進していくことに決定した。
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