2008 Fiscal Year Annual Research Report
サーファクタントエピタキシー法を用いた金属/セラミックス多層膜の構造制御と物性
Project/Area Number |
19510114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神子 公男 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 助教 (80334366)
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Keywords | サーファクタント / エピタキシャル / 結晶成長 / 表面・界面構造 / ナノ構造制御 / 薄膜・多層膜 / シーディッドエピタキシー / スパッタ蒸着 |
Research Abstract |
サーファクタントを媒介エピタキシー法用い、薄膜成長を意図的に制御することにより、平坦性、結晶性の良い高品質な金属/セラミックス薄膜を作製した。次に金属/セラミックス機能性多層膜を作製し、その物性について検討を行った。 具体的には、Fe、Co、Ni等の金属薄膜表面上にサーファクタント物質としてAgを微少量被覆させ、その上にTiO2薄膜やFe/TiO2多層膜を蒸着させ、薄膜の表面構造、結晶構造、配向性等を観測した。薄膜作製にはRFマグネトロンスパッタリング装置を用いた。 作製した薄膜・多層膜の構造解析や組成分析を行った結果、(1)Agは表面偏析しサーファクタントとして有効に機能している事、(2)Agを用いて作製したTiO2薄膜は薄膜の表面構造が大きく異なる事、(3)AgがTiO2薄膜のエピタキシャル成長(アナターゼ(100)成長)を促進させる事等を見出した。特に(2)に関して、Ag蒸着量によって、金属層上のTiO2薄膜の二次元成長や三次元成長が変化することを見出した。実際にサーファクタントの量を数mm程度にすると、TiO2薄膜の三次元島状成長が顕著に促進され、自己組織化したTiO2ナノ粒子(約〜数十nm程度)が得られた。このような結果は、金属/セラミックス薄膜系において未だに見出されておらず、今後のナノテクノロジーの発展に寄与するものと考えられる。 作製したFe/TiO2多層膜の物性について検討した結果、Agを用いて作製した多層膜は(4)磁気異方性が低下し、(5)光触媒活性には明確な変化が見られなかった。(4)の磁気異方性に関しては、Agによる薄膜の平坦化やエピタキシャル成長の促進効果によって、結晶粒径が増大しスピンのピン止め効果を減少させたことによると考えられる。(5)に関しては、Agによる多層膜表面の平坦化とアナターゼ(100)成長の促進が各々触媒活性の低下と増加に起因するためであると考えられる。
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