2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510121
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大川 祐司 National Institute for Materials Science, ナノシステム機能センター, 主幹研究員 (40242169)
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Keywords | 分子ナノワイヤー / 走査プローブ顕微鏡 / ナノ材料 / 分子デバイス / 原子間力顕微鏡 / ナノ構造形成・制御 / ジァセチレン / グラファイト |
Research Abstract |
これまで、走査トン不ル顕微鏡(STM)探針による刺激で有機化合物の連鎖重合反応を局所的に誘起し、導電性高分子ナノワイヤーを作成する技術を開発してきた。すなわち、ジアセチレン化合物の自己集合膜をグラファイト基板上に作成し、その任意の一分子上でSTM探針により刺激を与えると、連鎖重合反応が誘起され、ポリジアセチレン化合物ナノワイヤーが生成することを見いだしてきた。本研究は、これまでの研究をさらに発展させるため、グラファイト以外の基板上で高分子ナノワイヤーを作成することを主な目的として進めている。 この目的のための基礎技術として、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてグラファイト基板上の分子ナノワイヤーを観察できるかどうかをまず調べた。その結果、個々のポリジアセチレン分子ナノワイヤーのAFM観察に初めて成功し、ポリマーは反応前のモノマーよりも高く観察されることを見出した。この結果からポリジアセチレンナノワイヤーの構造についての知見が得られた。さらに、AFMは絶縁基板上でも用いることができる観察手法であるので、これにより今後絶縁基板上でも分子ナノワイヤーを観察できる道筋がついた。 また、他の有機分子膜上にジアセチレン分子膜を作成しようという研究の過程で、銅フタロシアニンの1から5分子からなるナノクラスターがジアセチレン分子膜上に室温・大気中でも安定に存在できることを副産物的に見出した。そうした分子に向けて連鎖重合反応を誘起した時にどうなるかは、単分子デバイス実現に向けても興味深いところであり、こちらも今後さらに発展させていく予定である。
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