2008 Fiscal Year Annual Research Report
カーボン13ナノチューブ量子ドットにおける核スピン制御
Project/Area Number |
19510124
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山口 智弘 The Institute of Physical and Chemical Research, 石橋極微デバイス工学研究室, 専任研究員 (80300903)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 核スピン / カーボン13 / ラマン分光 / NMR / 量子ドット / 輸送現象 |
Research Abstract |
本年度は,カーボンナノチューブ(CNT)量子ドットにおける^<13>C原子の核スピン系で量子コンピュータを構成する量子ビットを実現するための基礎的な研究として,様々な割合で^<13>C原子を含むCNT(^<13>CNT)を作製し,ラマンスペクトルの詳細,NMRによる^<13>C原子核スピンの緩和時間,および輸送減少の測定を行った.^<13>C原子の割合を変化させた^<13>CNTのラマン分光を昨年度よりさらに詳細に行ったところ,^<13>CNT中の^<13>C原子の割合は原料エタノール中の割合で完全に制御できること,G-bandとD-bandのピークの積分強度の比は,^<13>C原子の割合にあまりよらないことを確認した.さらにスペクトルの半値幅の^<13>C原子の割合への依存性についても詳細に検討し,フォノンのコヒーレンス長の中にある^<13>C原子の割合の揺らぎを考えるモデルで,実験結果を説明することに成功している.また,緩和時間の測定では,縦緩和は2つの成分からなり,長いものが数秒〜十数秒,短いものがミリ秒のオーダーであった.量子ビットへの応用上重要である横緩和時間については,^<13>C原子の割合が48%のもので616μsであり,応用上十分長い緩和時間を持つことが示された.輸送現象に関しては,昨年既に^<13>CNTに電極を取り付け,量子ドットデバイスを作製する技術を確立し,低温で明瞭なクーロンダイアモンドを観測することに成功しているが,今年度は,^<13>CNT量子ドット中での核スピンと電子スピンの相互作用の効果を明らかにするため,クーロンピークの外部磁場依存性,ラジオ波に対する応答を測定した,ラジオ波に対する応答では,特徴的なピーク構造を発見したが,その起源はあきらかではない.
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Research Products
(3 results)