2007 Fiscal Year Annual Research Report
走査プローブ法を用いた「可逆な」単一生体分子等操作法の開発
Project/Area Number |
19510127
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
梅村 和夫 Musashi Institute of Technology, 工学部, 講師 (60281664)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / 分子操作 / 環境応答性 / ナノデバイス / 表面修飾 / タンパク質 / 熱ドリフ / ポリマー |
Research Abstract |
初年度である平成19年度は,37度付近で劇的に物性が変わることが知られている温度応答性ポリマーを用いて,原子間力顕微鏡(AFM)の探針表面での可逆な応答の基礎的な知見を蓄積した。研究成果としては,まず細胞培養用に市販されているポリマーコートディッシュを加工した,液中AFM測定下での温度変化に伴う探針と基板表面(ディッシュ表面)との相互作用の実験が挙げられる。画像観察とフォースカーブ測定による吸着力測定により,温度とポリマーの構造および吸着力の相関とを詳細に検討することができた。やや実験系は異なるものの,同様の狙いと思われる実験報告が海外から出てきているため,この成果は20年度の早い時期に論文等発表する必要があると考えられる。さらにタンパク質吸着のモデル実験として,アルブミンを用いた吸着実験を行い,温度と吸着の相関について詳細に検討した。問題点としては,分子レベルになると40度前後での加熱冷却でもAFMの熱ドリフトによる位置ずれが無視できないことが挙げられる。また,基板側に分子を吸着させた場合は,ディッシュ表面の凹凸が問題となることも判明した。そこで,細胞培養用に作製されたディッシュではなく,ポリマー粉末を有機溶媒に溶かし,雲母表面でのポリマー薄膜を作製して同様の実験を行った。この方法をとると,ディッシュ表面よりはるかに平坦な基板を作製することができた。コスト面でもこのほうが安価といえる。ただし,耐久性等については今後検討する必要がある。
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