2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19510128
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
渡邊 真志 信州大学, 繊維学部, 准教授 (90301209)
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Keywords | マイクロリアクター |
Research Abstract |
マイクロ化学チップは、化学的な分析や合成を小さなチップ上で行うもので、近年、国内外で盛んに研究されている。従来のマイクロ化学チップの多くは、半導体の加工に用いられるような微細加工技術を応用して作らていたが、作製にかかる時間や装置のコストが大きくなりがちであった。そのため、使う人(エンドユーザー)自身が、オリジナルなチップを設計し、自分でチップを作ることは非常に難しかった。そこで本研究では、エンドユーザー自身が短時間、かつ、低コストでマイクロ化学チップを作れるようにすることを目的として、インクジェットプリンターによる印刷だけでチップを作製するという新しい方法の開発に取り組んだ。昨年度までに、流体として水溶液のほか、キシレン、ニトロベンゼン、ジメチルスルホキシドなどの各種の有機溶剤を、マイクロ化学チップの流路に流せるようにした。また、水とキシレンの流路を接触させ、水―有機溶剤界面を作製することも出来るようになった。しかし、界面の安定性が不十分であり、また、流路の幅も太かったので、実際に界面を通して液―液抽出を行うには至っていなかった。本年度は、これらの点を改良し、モデルケースとして水-キシレン界面で色素の抽出を行わせることができた。さらに、Y字型の流路を用いて2種類の液を合流させ、簡単な反応を行わせることも出来た。また、インクジェットプリンターに用いるインクに要求される物性については、昨年度までは定性的にしか分かっていなかった。そこで本年度は、どのような物性が必要か、特に、基板上での濡れ性の最適な範囲、乾燥後のインクの跡の形状について詳しく調べた。その結果、ある程度理論的に、必要な物性の範囲を決めることが出来るようになった。
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