2008 Fiscal Year Annual Research Report
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19510134
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
田中 彰治 Institute for Molecular Science, 分子スケールナノサイエンスセンター, 助教 (20192635)
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Keywords | 分子スケールエレクトロニクス / 単電子トンネルデバイス / オリゴチオフェン / 単分子素子 / 分子電線 / 巨大分子 |
Research Abstract |
[1]初年度、「分子鎖長増加に伴うトンネル伝導からホッピング伝導への転移(鎖長:〜7nm)」を、STM-ブレイクジャンクション法により、単一分子レベルにおいて初めて実験的に確認した(阪大・多田G)。この現象を定量的に解明するため、より広範囲かつ細かい刻み幅で分子鎖長を制御することが必要となった。さらに切実な課題として、計測試料の供給を、従来の十ミリグラム程度から百ミリグラム以上のスケールに増量しないと、計測条件の最適化を存分に実施することが困難であった。これに対応するため、従来の2量化反応による分子鎖拡張プロセス(3x2^n量体の構築用,n=1-5)に加え、混合3量化プロセスについて検討を進めた。結果、従来10nm長級以下でのみ可能であった百ミリグラムスケール以上の合成を30nm長級にまで拡張でき、また2量化では構築不可であった3x2^n量体以外の鎖長の分子構築も、この合成スケールで行うことが可能となった。これにより、世界的にみても「最も詳細かつ広範囲な単一分子鎖の伝導特性研究」が可能となった。[2]当初計画に基づき「単一分子内多重トンネル接合」系の開発のため、分子鎖中央に「1nm長級のオルトキノイド型低エネルギーギャップ系」、及び「σギャップ系付きポルフィリン環」を導入したアンカーポイント付き分子電線を合成し、単一分子伝導特性を計測した(阪大・多田G)。結果、1nm長規模の分子鎖内ポテンシャル変調の導入では、無変調系と比較して伝導度は顕著に向上したものの、単電子・ホール保持による効果は認められなかった。この結果を受けて、3nm長までの分子鎖内ポテンシャル変調を導入するための分子ユニットを新たに開発した。今後、このクラスの分子群について計測研究を実施する。
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